LED応用-各種照明用
LED応用-各種照明用
各種照明用
省エネ、高輝度で長寿命を実現できる白色LEDの開発に伴い、発熱を伴うエネルギー消費の大きい電球に代わり新しい屋内・屋外照明材料として期待されている(LED照明)。デザインや光色なども調節できるため、より自由度の高い照明が可能になる。現在は既存の照明に置き換わる性能をもった製品が発売されており、懐中電灯、乗用車用ランプ、電球型照明、スポットライト、常夜灯、サイド照明、街路灯、道路照明灯などLEDを使用した製品が次々登場している。 日本エネルギー経済研究所が2011年に発表したリポートによると、日本全体の白熱灯や蛍光灯などをすべてLED 照明に置き換えた場合の省電力ポテンシャルとして、1時間あたり922億キロワットを節約できると試算している。これは日本の総電力消費量の約9%に相当し、原子力発電所13基分という。
E26型、E17型を中心とした白熱電球のソケットに装着可能な「LED電球」は企業間競争などにより大幅に価格が下落した。製品寿命や消費電力を考慮すれば「LED電球」の方が、白熱電球や電球形蛍光灯より低コストであると謳われているが、発売されてからまだ日が浅い商品であり、公称寿命として、各メーカーが謳う40000時間[23]に達した例がほとんど無く、頻繁な点灯・消灯の繰り返しや連続点灯が、寿命に関わる劣化にどう影響を与えるかは未だ検証可能な個体が少なく、未知数である。
明るさや照射範囲などは「LED電球」の型番によって違いがある。より電球に近づけたと謳うものや、広配光を謳うもの、下方向のみのものなど多種多様である。中でも明るさについては、実際の明るさよりも明るいと不適切な表示(優良誤認)を行ったとして、メーカー12社[24]に対して、2012年6月、消費者庁が景品表示法に基づく措置命令[25]を行った。これにより、「LED電球」の明るさ基準を作る動きが生まれ、業界団体である一般社団法人日本電球工業会により、電球と置き換えた場合、電球の何ワット相当に該当するかを、全光束(ルーメン)が明るさ表示の基準として統一され出された。これにより、加盟会社の電球製品はそれぞれ電球何ワット相当と表示できる基準ルーメンと実際のルーメンに合わせる必要があり、不適切な表示はなくなった。ただし、非加盟会社の製品は、インターネットを通じて販売されることが多く、未だに不適切な表示を継続する例が後を絶たない。
直管蛍光灯(FL40W形等)と同形状・同口金 (T8:G13) の物も発売され、LEDチップ価格の下落に伴い、ややコストメリットが出つつある。しかし、急速に価格が下落し、電球との消費電力の差も大きい「LED電球」と違い、直管蛍光灯型LEDは、もともと低消費電力の蛍光灯との競争のため、消費電力の差が少なく、価格も高い。カバーに透明と乳白色の2種類があり、直下の照度を重視するなら透明、広い照射角(最大310度のものもある)を求めるなら乳白色のものを選ぶのが妥当である。照明機器としてLED素子1個では充分な光束が得られないため、使用目的に合わせてLED素子を複数個使用して照度を確保している。100個以上のLED素子を使用した製品も珍しくない。ただし、蛍光灯に比べ重量が増すためにソケットが重みに耐えられず落下する危険性があるほか、蛍光灯器具の安定器を取り除く必要があるタイプのものも多い。そのため、日本の大手メーカーなどは器具そのものをLEDユニットにしたものを開発している。
丸形蛍光灯型LEDを使用するシーリングライト等についても、直管蛍光灯と同じく、もともと低消費電力の蛍光灯との競争のため、消費電力の差が少なく、価格も高い。
表面実装 (SMD) タイプのLEDを使用した照明器具を、「SMDライト」等と称して差別化して販売している例もあるが、本質的にLEDと何ら変わりがない。
乗用車のランプ
テールランプは、後続車両へのブレーキ作動の警告として使われる。そのため使用頻度が高く、急激な電力供給と発熱のため寿命が短い一方でランプ切れは事故につながりやすいため、長寿命のLEDが適している。また白熱型照明は発熱に時間がかかりそれがブレーキ作動から点灯までの時間差を生み事故の原因の一つになりうるが、LEDは時間差がきわめて少ない。
乗用車への利用も拡大しており、テールランプに加えアフターパーツとして室内灯やポジションランプ(スモールランプ)などが多く販売されている。光量が足りないためヘッドライトにLEDを採用例はなかったが、2007年5月発売の4代目LS600hには小糸製作所が日亜化学工業と共同開発した(鉄道以外の用途として)世界初のLEDヘッドランプが搭載されてい。LS600hのLEDヘッドランプは1つのLEDランプでは光量は足りず3つのLEDランプをロービームとして使用していたが[28]、その後LEDランプ1つあたりの光量が増え、2013年発売の3代目レクサスISでは1つのLEDランプでロービームとして使用できるようになった。LEDヘッドランプは消費電力が少なく光量はHIDより上回っており[29]、各自動車メーカーが採用しつつある。
バイクなどのランプ
オートバイへの利用ではko-zaru仔猿(CKデザイン製)が、ウィンカーとテールランプ、ストップランプに2003年から採用している。小型バイクのためバッテリーの積載容量に制限があり、電力消費の点から採用した。日本では初めてのケースとなる。近年のLEDの性能向上を検証しつつ、ヘッドライトへのLEDの適用を研究している。一般市販バイク初搭載としては、ホンダが2014年3月14日発表、同月20日発売しているCB1300スーパーボルドール(型式SC54)の2014年モデルから正式採用された。
自転車のランプ
自転車用ランプのLED普及率は、自動車のそれに比べて非常に高い。発電機を動かすためペダルをこぐ力が乗り心地に直結するため、消費電力の少ないLEDの使用により軽快な乗り心地になる。また使用電力が低いため、非接触型の発電機を使用することにより、照明による負荷が非常に少なくなる。また電池式においても消費電力の少ない分電池が長持ちする利点がある。廉価な軽快車などでは相変わらず電球が主流であるが、ハブダイナモ式のオートライトには多く採用されている。この他、前照灯としての役目より、他の自転車や自動車からの被視認性を意識した認識灯や尾灯への応用も多い。
舞台演出用の照明器具として
高輝度LEDを搭載した舞台用照明器具がMARTIN社から発売されている。赤・青・緑(一部製品は白色)の高輝度LEDを搭載することにより一般的なフィラメントを用いた舞台照明と比較して次の利点が挙げられる。
• 消費電力が圧倒的に低い。
• 一つの照明につき多くの色を表現できる。シームレスな切り替えでグラデーションも可能である。
これらは一般的なフィラメント式のフレネル舞台照明よりも高価だが、舞台を始めコンサート・ライブ等で多く採用されている事例がある。
ガーテン用ソーラーライト
ソーラーパネルと充電式電池を使用するランプが普及して、各ホームセンターでは専用の売り場が設けられるまでになった。
電子写真式プリンター内部の感光用光源
電子写真式プリンターとして一般的なレーザープリンターは、レーザー光の出力を直接変化させたり、液晶シャッターで強度を変調した光を、回転するポリゴンミラー(多角形鏡)に反射させて走査したりして、感光ドラム上に走査線を作り出している。光学系には高い精度が要求され、構造上どうしてもある程度以上の走光路距離を確保せねばならず、プリンターの小型化、低価格化は困難だった。
これを解決したのが、LEDアレイヘッドを使用したLEDプリンターである。微細加工したLEDを直線上に数千 - 数万個並べ[30]、感光ドラム上の潜像の1ドット1ドットに対応するLEDで感光書き込みを行う。機械的駆動系(ポリゴンミラー)は不要になり、光学系は単純な収束レンズのみで済み信頼性向上とコスト削減、機器の小型化を実現している。ただし、主走査解像度がヘッドの集積度によって制限される、素子間のばらつき補正が必要、ドラムとLEDアレイが非常に近いために飛散したトナーが付着して出力物のクオリティ安定性に欠けるなどの欠点も持つ。
光通信用光源
駆動電流の変化に対し、光出力が高速応答するという特性を生かし家電製品等の赤外線リモコンやTOSリンクを始めとする光ファイバー通信の信号送信機、またフォトカプラ内部の光源に赤外発光LEDが広く使われている。
センサ用光源
赤外発光LEDはフォトトランジスタ等と組み合わせて、対象物の有無を検出するフォトインタラプタやフォトリフレクタ等の構成要素として用いられる。
模型製作・改造用光源
模型用点灯光源としても、価格低減と共にかつて使用されていた小型電球の代替として使用されるようになってきた。光色の制限から、かつては赤色光への使用が主だったが黄色、白色LEDの開発により前照灯や室内蛍光灯の白色光の再現も可能となった。さらに白熱灯の再現については電球色(淡橙色)LEDの開発により、実際の電球ではサイズや発熱などの理由で難しかった箇所も実感的な光色の再現が可能となった。特に、点灯機構を組み込むスペースが限られ、また部材がABSやポリスチレン樹脂などで作られているなど電球の発熱の面でも不利な場合があったNゲージを中心とした鉄道模型の場合、通常のレンズタイプからチップタイプへの移行により構造の小型化により実感の再現に大きく寄与し、これにより従来は実車のヘッドライト構造の関係で製品化が困難だった車種の製品化が実現した。コスト的には従来の電球使用より割高となっても実感的な模型の実現からユーザーに歓迎された面があり、分野としての消費量は少ないながらも実用照明器具での利用に先行して採用されている。また模型用途としては他にカーモデル用ディティールアップパーツやミニ四駆用のタミヤ純正カスタムパーツ[31]など、改造用LEDキットが存在する。
エレクトロニックフラッシュやレフ板の代用として
カメラ(デジタルカメラも同様)では、暗所での撮影や接近撮影・人物撮影での際には露出のラティチュードを揃える意味でエレクトロニックフラッシュ(フラッシュ)やレフ板などを使って光を当てる事があるが、一般的なフラッシュ撮影では瞬間的に光を当てる撮影となるために、撮影者や被写体としては写真の仕上がりが想定しにくい。レフ板に関しては、自然な感じの照明効果が得られる半面、嵩ばる・移動の際に運搬がしにくい欠点がある。写真撮影用ライトは白熱電球の原理を用いたものが多いため、照明効率に対しての熱放射も大きく、被写体が熱を嫌う物である場合は照明器具として好ましくない例も多かった。またスタジオ外で撮影の為に携帯する機器は事実上、クリップオンフラッシュに限られた。LEDアレイ式ライトは電池での駆動が可能で、かつ照明光源としても必要十分な光量が得られるうえに比較的長時間の使用が可能なため、今後は撮影用照明器具としての普及が見込まれる。
2013年頃から、白色LEDをアレイ状に敷き詰めた撮影用LEDライトが、中国などを原生産国としてインターネットを中心に照明器具として普及しつつある。
ツェナーダイオードの代用品として
電子回路内の基準電圧源として一般に使われるツェナーダイオードはアバランシェ降伏現象を利用しているため、出力電圧にわずかながらノイズを発生させてしまう。通常はフィルタ回路によってノイズを十分に減衰させる設計を取るが、オペアンプをディスクリートで組む場合等、「そもそもノイズが発生しない基準電圧源」を追求して定電流駆動したLEDが使われる事例がある。
小信号ダイオードの代用品として
ディストーションやオーバードライブ、またギターアンプのクリッピング素子として、シリコンダイオードやゲルマニウムダイオードの代わりに使われる場合がある。
ろうそく・灯火の代用品として
ろうそくに似せたLED照明器具も製作・販売されている。火傷の心配がなく、火災の危険性が低いメリットがある。センサーやコンピューターと組み合わせて、周囲の音を感知して光を動かし、風による炎のゆらめきを再現する技術も開発されている。