LED照明特徴
LED照明特徴
LED照明は、蛍光灯や白熱電球といった従来型の照明器具と比較すると以下の特徴を備える。
長寿命・高信頼性
白熱電球や蛍光灯の数倍以上の設計寿命で、一度設置すれば管球交換のような頻繁な交換の手間が省け、LED照明が寿命を迎えるまでの管球の購入コストを削減できる。ただし定格を超えないように設計されている必要がある。また、LEDそのものは長寿命でも、LEDを駆動するための電子回路にも故障が発生する可能性がある。例えば地面に落下させた場合、部品点数が多い分、半田割れで故障する可能性が高くなる。
低消費電力・低発熱性
供給される電力の多くが発光に使われる(発光効率が高い)ため、従来の白熱照明と同じ明るさを作るのに必要な電力が少なくて済む。また、熱となって失われる電力が少なくて済むため、低発熱の照明器具となるが、全く発熱しないわけではなく、白熱電球と比較して発熱が低いだけであり、素手で触ると火傷する危険性は有している。2013年時点では、発光効率は蛍光灯と同程度かまたはやや勝る(蛍光灯はインバータ型で110〜85、従来型で70〜60〈lm/W〉)程度だったが、年を追うごとに発光効率は改善している。
高価格
2013年現在、白色を放つ高輝度LED製造には高価な半導体製造装置と高度な技術が必要とされ、LED照明そのものの生産・販売数が少ないことも量産効果を生まず、高価格である理由の1つとなっている。また、電源回路を必要とし放熱板や配光用のレンズ、散乱パネル等も器具全体を高価格にしている。LED電球については、価格の低廉化がみられるものの、直管蛍光灯形のLED照明や円形蛍光灯のLED照明については、まだ市場規模もLED電球ほど大きくなっておらず、技術的・生産コスト的にも発展途上の市場であり、特にLED電球が白熱電球と比較されるのに対し、蛍光灯との比較となり、価格競争力が弱い。こちらも、価格の低下、発光効率の改善や生産性の改善が進み、従来の蛍光灯からの置き換えが進みつつある。
RoHSに対する高い順応性
蛍光灯は性質上、水銀を使用しなければならず、代替物質もないが、LED照明は水銀が必要なく、RoHS指令で定められた6種類の人体・環境汚染物質を使用せずに生産できる。
耐衝撃性
真空やフィラメントを必要としないため、衝撃に対して比較的強く作れる。ただし、精密部品を集積した機器であることは変わりはなく、白熱電球や蛍光灯に使用されているガラス等に比べて、少々の衝撃では割れないプラスチック等を使用できるため比較的強いというだけである。
小型・点光源
点光源のため発光部が小さく作れる。設置空間を小さくできるためデザイン上も利点ではあるが、放熱の工夫や配光角、すなわち光の照射範囲を広くする設計が求められる。比較的古くから存在する「下方向タイプ」などと称されるものの配光角は約120度しかなかった。これは配光角が約330度の白熱灯の1/3にも及ばず、部屋全体を見ると暗かった。その後の技術の進展はめざましいもので、2011年末にはパナソニックが約300度を達成したと発表、2015年現在では最大で約350度にまで向上している。その一方で、120度の製品は淘汰されていない。
高速応答性
熱慣性がほとんど無いLED照明は、供給電源が断続すれば、それに応じて高速度で明滅する[注 1]ため、蛍光灯、白熱電球や水銀灯と比較すると極めて高速で明滅するほか、明滅を繰り返すような場所にも効果がある。ヒトの目では感知できないが、点滅速度は電源が交流の場合、商用電源周波数に依存するため、ビデオカメラで映像として記録した場合に、問題となることもある[注 2]。
直流低電圧駆動
1つ1つのLED発光素子は直流低電圧の電源によって発光するので、100V交流の商用電源に接続する、通常の照明のように使用するためには(基本的には)複雑な電源回路設計が必要になる。家庭の照明器具の場合は電源回路を内蔵しており、基本的に大電流をかけて高輝度発光を行うため、発熱によって素子自身や周囲の封止パッケージが劣化して行き、最悪の場合にはLED素子が損傷を受け、発光不良を起こす。これを避けて長寿命・高信頼性を実現するには、放熱性の高い筐体設計や外周に冷却用のフィンを備え付ける等正しい放熱が求められる[3]。そのため、LED電球は、発熱が放熱を上回らない限界の「白熱電球100W相当」ルーメンのものが目安上限として市販されている[注 3]。
その他
他の特徴として、内蔵した各色LEDの発光を切り替えることで、発光色を容易に変えられる。そのほか、赤外線を出さないため、放射熱も出さない。また、紫外線を出さないことで紫外線を好む虫類がほとんど寄ってこないなどの利点がある。